涙の雨

―プルルルッ!


その時携帯に電話がかかってきて

待ち受け画面を見ると、山田からだった




「先輩!何処にいるんですか!?」

『ロータリーのとこ、見てみろよ!』


「ロータリー…?」



駅前にあるロータリーには
タクシーが列を作って止まっている



俺はロータリーにいる山田を探すと

手を振りながら携帯を持つ、一人の人間が見えた



『俺はここだぞ~!』

何度も手を振り俺に合図を送る



それは間違いなく山田の姿だった





「先輩、バイク乗ってるんですか!?」


電話を切り、山田のいる場所へ近寄ると

すぐに声をかけた




「学校はバイク通学禁止だからな。こういう時じゃねぇと乗れねぇんだよ」



バイクに跨ったまま

笑いながら俺に言った山田




鮮やかなライムグリーン色のタンク部分には


“Kawasaki”


そして下の部分には

“KH250”


と書かれていた



「今バイク止めてくるから、わりぃけど少し待っててくれるか?」



ニッと笑いながら山田は言った
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