涙の雨

「わかりました」


俺がそう言うと

ヘルメットを被りエンジンをふかして、山田はその場から走り去ってしまった



たぶん近くの駐輪場に停めに行ったんだと思う




そして暫く経つと

小走りで山田が駆け寄ってきた



「わりぃ!待たせちゃったな!」

「いえ、大丈夫です」


合流した俺達は

そのまま駅に向かい、電車に乗って浅草寺に行く事になった












「凄い人ですね!」

「元旦っつうのは、みんな来る所同じなんだな~」


浅草寺に近くなると

着物を着ている人やいろんな人間の人で、辺りは溢れ返っていた



あの巨大提灯の前には

記念写真を撮る人が無数にいて



提灯の下をくぐると

仲見世通りはおびただしい人間で、とても賑わっていた


「遼太、迷子になんなよ?」

片眉をひょこっと上げて
意地悪そうに笑う山田


「なっなりませんからっ!」


子供扱いされたような気がして

顔を赤くしながら俺は言った






だが、行き交う人の波に逆らうように歩く小さな俺の体は、あっという間に飲まれてしまい

案の定山田とはぐれてしまった
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