涙の雨
握られた瞬間、ドキッとした
しかも周りにはたくさんの人がいるし
望月と付き合ってる時だって
人前で手を繋いだ事なんて一度もなかったから
「先輩、あの…」
「しっかり握ってろよ?」
若干戸惑う俺をよそに
山田はそのまま人混みの中へ入って行った
境内に来るとたくさんの人間がいて
線香の煙に屯してたり
お賽銭してたり、店に群がってたりしてた
「遼太、おみくじでも引くか?」
「―はい!」
無事にお賽銭を終えた俺達は
近くにあったおみくじの筒状の箱を手に取った
百円を入れて、勢いよく箱を回す
そして箱を逆さにすると
“八十六”と書かれた一本の棒が出てきた
巫女さんに番号を言うと、一枚の紙を差し出してきた
「先輩!俺、大吉ですよ!!」
紙には大吉と書かれていて、全ての項目には良いことばかり
「先輩はどうでした?」
隣にいる山田のおみくじを見ると
吉と書いてあった
「まぁ…ぼちぼちだな。凶が出なかっただけでもよかったぜ」
山田はおみくじを読み終えると
紙を枝に結んでいた