涙の雨

「いや~凄い人だな」

「ホントですね、びっくりです」



俺達は近くにあったベンチに座り


屋台で買ったたこ焼を食べながら、境内を眺めていた

時間は午後三時を回っているのに
人の足は更に増えていたたような気がする



「飲むか?遼太」

山田があったかい缶ジュースを俺に差し出す



「…じゃ、ちょっと」


山田にたこ焼のパックを渡し、反対に缶ジュースを受け取った


両手でジュースを持つと

温もりが冷えた指先にゆっくりと伝わってくる



そして一口飲むと

ホットレモンティーの味が口一杯に広がった




「最近どうだ?調子は?」
山田が前を眺めながら言った



「…んまぁ、ぼちぼちです」

「尚輝の事はフッきれたか?」



「それなりに…ですかね」




と言いつつも

完全には忘れきれていない自分がいた




あの時は冬休みだったし

会うこともないから、そこまで考える事は無いけど



学校がまた始まったら、何処かでバッタリと会うかもしれない



同じ時間を

同じ校舎で過ごしているんだから
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