涙の雨
それにもし望月と会った時に
いち生徒として、周りと同じように話せるかどうか
正直自信が無かった
あっちは簡単に話せるかもしれないけど
俺はまだ望月が好きだったし
昔の思い出だって、全てを捨てた訳じゃない
別れた今でも
大切に胸の中にしまっていたから
「人間は忘れる生き物だからよ、良い事も悪い事も時間が経てば簡単に忘れていく。そしてまた新しい記憶を、その上からどんどん積み重ねていくんだ」
そう話す山田の横顔を見た時
一瞬ドキッとしてしまった
こう…何と言うか、頼りがいがあって
望月とはまた違ったカッコよさが、そこにはあったんだ
「先輩はこういう経験…あるんですか?」
「ん~…、あったり無かったりだな!」
山田は笑いながら上手くはぐらかすと
美味しそうにたこ焼を食べた
無邪気に笑ったり
時には真剣な顔で話したり
この人は、ありのままの自分で生きてるんだなと
山田を見つめながら思った
望月は大人だから
自分自身も少し背伸びをしないと、望月と釣り合わないのかなって
付き合ってる時よく考えてたっけ