涙の雨
―ガラガラッ!
「―!」
その瞬間、後ろから勢いよく引き戸が開く音が聞こえて
俺は思わず後ろを振り返った
「…遼太」
そこには
驚いた様子で俺を見つめる望月がいた
「あ…あの、勝手に入ってすみません」
久しぶりに見た望月の顔を直視出来なかった俺は
すぐに目線をそらしてしまった
「どうしたの?」
「あの…指、切っちゃって…」
望月が扉を閉めて、部屋の中に入るとそのまま俺を横切り
持っていた書類みたいな物を、デスクの上に置いていた
「たしか、遼太のクラスは歓迎会の冊子作ってたよね?まだ残ってやってるの?」
望月はそう言うと俺の前に立った
「はい…、まだ全部終わってなくて…」
でも俺はまだずっと俯いたまま
恥ずかしいやら、気まずいやらで顔が何故か熱くなってくる
「…見せてごらん」
望月は優しく言った後
俺の手をゆっくりと触った
―うわっ!何か凄い恥ずかしい!
心臓の鼓動が激しく動いて
顔は火が出そうなほど熱い
俺はどうする事も出来なくて、
ただジッとする事しか出来なかった