涙の雨
その瞬間、俺の腕を強引に引っ張った望月は
そのまま俺を抱きしめてきた
「ちょっ…やめて下さいよ!」
「―嫌だ」
望月の考えている事が
全くわからなかった
「ホントにやめっ―!」
望月から離れようとしても
俺を抱きしめる腕の力が、とてつもなく強かった
―何で…
何でこんな事するんだよ
俺は頑張って
忘れようとしてるのに―!
「―離せって、言ってんだよ!!」
そう叫んだ俺は
両手でおもいっきり望月の胸を押すと
やっとの事で望月の腕がほどけ、離れる事が出来た
「俺と尚輝さんはもうただの教師と生徒なんだから、こういう事すんなよ!胸が苦しくなるから、ホントに嫌なんだよ!」
そう言ってる時も
胸がギューっと強く締めつけられて
とにかく自分自身に
歯止めが効かなかった
「俺は必死に尚輝さんを忘れようとしてるのに、何で…何で抱きしめたりすんだよ…」
独り言のようにブツブツ話す俺
でもその声は
望月にも届いていた