涙の雨
門出の春
またこの季節がやってきた
一年前とは違い
鮮やかな春の空で、桜も満開に咲いていた入学式
自分がいる場所は
もちろん在校生の席
ピカピカの一年生がとても初々しく見えて
去年は、自分もあの席にいたんだと思うと
一年ってホント早いんだなとつくづく感じていた
学校を卒業した山田とも
頻繁に連絡を取り合っていて
大学に進んだらしく、毎日バイク通学出来るのが嬉しいと
電話をしながらよく笑って話していた
そして望月との関係は
今だ変わらずのままだった
廊下で会ったとしても
お互い声もかけないし
目も合わせようしない
望月への想いはまだ残ってたけど
昔ほど強くなくなってきて、頭の中で考える事も無くなってきていた
話もしないし
あまり会う事もないから、仕方ないのかなと思いながらも
ずっと消せずにいた
望月のアドレス
いつか…
もしかしたら…と
小さな望みさえ捨てきれなかったから
でも
望月からの着信は一度も無い