涙の雨

一旦教室に戻り、放課後に後片付けをする事になった俺達は


帰りの支度をしてまた体育館に戻った



新入生が座ったパイプ椅子を片付けたり

体育館に飾った飾り付けを外す



「何か、あっという間だったな~」

椅子をたたみながら話す賢二




「準備するまでが長かったから、よけいだよな」


俺も隣で作業しながら、ため息混じりで言った




ここまでくるのに、二ヶ月もかかったのに


全てを片付けるのはたったの一時間弱



実行委員も始めは大変だったけど

いざ役目が終わってしまうと
少し寂しくなった






「―伊藤と後藤!ちょっと!」


歓迎会の担当の先生に呼ばれて行くと

スライドで使った機械を、部屋に戻してきてと俺に頼んできた



「戻す場所は第一準備室。鍵は職員室にあると思うから、誰かに借りてな」



結構重量のある機械は台車に乗せられていた


「後藤は力があるから、パネルを降ろす作業に回ってくれ。伊藤はそれを返したらそのまま帰っていいぞ」



賢二はそのまま作業に移ってしまい


俺は一人寂しく帰り支度をして

台車を引きながら体育館を後にした
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