涙の雨
とにかく驚いた
「先輩、来るの速くないですか!?」
うちの家から最低でも十分はかかるのに
山田は、俺より先に待ち合わせ場所にいたんだから
「ちょっと近くまで来ててさ。ついでに遼太の顔、見たくなってよ」
ヘへッと恥ずかしそうに笑う山田を見たら
こっちまで恥ずかしくなってしまった
「時間、大丈夫か?」
「あんまり長くはいられませんけど、まだ大丈夫です」
俺達は広い公園内にあるベンチに座りながら話していた
「今日は満月なんですね」
空には黄色い満月が浮かんでいて
星もたくさん輝いてた
青空や夕日の空は見る事が多いけど
夜空を見る事があまりなかった俺は
思わずジーッと空を眺めていた
「遼太さ、まだ尚輝の事好きか?」
「―えっ!」
突然の言葉に驚く俺
「尚輝の事…まだ好きか?」
山田の横顔を見るとジッと下に俯いたまま