涙の雨

体育館に行くとすごいギャラリーで

コートの中では
バスケ部の人間が練習試合をしていた



「遼太!あの人だよ!」

賢二が一人の人間を指さす



一際背が高くて

楽しそうにバスケをしている人間がいた


「山田博文、高等部の三年生だ」



初めて聞いた名前


でも賢二曰く、かなりバスケが上手いと学内では有名だった


その時試合が終わり

山田が他の仲間達とコートから出てきた



周りの生徒も山田にくぎづけで

賢二も嬉しそうに眺めている




そして俺達の横を通り過ぎた時


俺と目が合った



「ん?…お前、可愛い顔してんな?」


俺の目の前に止まった山田は
頭三つ分ぐらい背が高くて


俺は見上げるのが精一杯だ

「あ、もしかして伊藤遼太?」

「そうですけど…」



白いシャツを着ていて

第二ボタンまで外してる


ガタイもよくて顔も中々の男前だ



「女みてぇな一年が入ってきたって聞いたからよ。たしかに、スカート履いたら女だな」


ハハハと大きな声で笑うと
俺は急に恥ずかしくなった


「またな!遼太!」


山田はそう言い残して
仲間達と体育館を後にした
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