涙の雨
五月の最後の日曜日
雲一つない、久しぶりの晴れ
その日
俺は後楽園にいた
「先輩が乗りたいって言ったんじゃないですか!」
「―バカッ!遼太が乗りたいような目で見てたから、乗ったんじゃねぇか!」
あの大型ジェットコースターに乗った俺達は
周りの目も気にせず
口喧嘩を始めてしまった
「たしかに…乗りたかったですけど、先輩がジェットコースターが嫌いだって知ってたら乗りませんでしたよ」
俺がそう言うと
山田は落ち込んだ様子で、すまんとボソリ呟いた
「…少し休憩しましょうか。ちょうどお昼だし」
ため息混じりで優しく山田に声をかけると
「んじゃ俺、飯買ってくるからよ!空いてる席に座って待っててくれ!」
山田は名誉挽回のような意気込みで、急に元気になり
近くにあったケンタッキーまで走って行った
―わかりやすいなぁ…先輩は
その後ろ姿を眺めながら
ちょうど空いていた
外のテーブル席に腰を下ろした