涙の雨

前日の土曜日、突然山田から電話がきて


いきなり後楽園に行こうと誘われた




たぶん告白の事

ずっと気になってたのかなと思ったら


断る理由なんて俺には無い



待たせてるのも

ずっと不安にさせてるのも、みんな俺のせいだから






ボンヤリと考えてる時

遠くから黄色い声援が突然聞こえてきた



―何だ!?急に!?





その原因は

戦隊ヒーロー物のショーが始まったから



そういえば、昔俺もハリケンジャーとか
そういうの見てたなと思い出してると



トレーを持った山田が

俺の座る席に近寄ってきた



「すげぇ声だな。子供より女の声が大きいぞ」



そう言うと

トレーをテーブルの上に置いて、俺の隣に座る



「先輩、お金…」

「―いいよ、気にすんな」


山田はそうきっぱり言い切って

ポテトを一口食べた



「だって、みんな先輩に払ってもらってるし…」


他のアトラクションも

全て、山田がお金を出してくれていたんだ



「バイトの金も入ったし、贅沢させてあげられんのは、今日ぐらいしかねぇからさ」


ニッと笑った山田は


俺の頭をグリグリと力強く撫でた
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