涙の雨
「嫌なら嫌って…」
「―嫌じゃないんです!」
俺の大きな声に
山田は驚いた顔で俺を見つめた
「俺だって先輩好きだし、これからも仲良く出来たらなって思ってます。でも…」
思わず言葉が詰まると
俺は下に俯いてしまった
「―尚輝の事が引っかかってんのか」
山田の一言に
俺は小さくはいと言って頷いた
「そうか…」
その言葉を最後に
俺達は暫く黙り込んでしまった
その間も観覧車は動いていて
俺は俯いたまま、上目使いで山田を見ると
外の風景を遠い目でジッと眺めている
―気まずいな…何か
重苦しい雰囲気が車内に漂っていた
まだ頂上にすら昇ってなくて
降りるまで時間はたっぷりある
俺はどうしたらいいかわからなくて
ただ山田と風景を交互にチラチラ見ながら
何かを話すキッカケを探していた
「俺の事、嫌いじゃないんだろ?」
「―えっ!あっ、はい…」
突然話しかけてきた山田に慌てて答える俺