涙の雨
その瞬間
急に立ち上がった山田は
いきなり俺の隣に座り
車体はグラッと大きく揺れた
「急に…動いたらびっくりするじゃないですか!」
「―俺は基本的に待つ事が嫌なんだよ。遼太の事を思ってずっと返事待ってたけど、もう我慢出来ねえ」
一人焦る俺をよそに
山田は自分の体を密着させてきて
俺の顔を間近で見つめてきた
その突然の行動に
心臓の鼓動が激しく動き始め
顔が一気に熱くなってくる
―何かヤバいぞ…この空気
「先輩、顔近いです…!」
何かされるととっさに感じた俺は
山田から目線をそらし、座りながら後ろに下がった
周りの車体には人が乗ってるし
壁はガラス張りなので
小さな隙間から俺達の姿を見ようと思えば
上からも下からも簡単見えてしまう
「逃げんなよ、遼太」
山田は俺の腕を掴むと
俺の体勢を自分の方に無理矢理向けさせた
「言っただろ、尚輝が忘れられないなら俺が忘れさせてやるって」
真剣な目で俺を見つめる山田
―顔が近い…
このままだったら…!
「先輩、待って…」
「―もう待たねぇよ」