涙の雨

その瞬間
急に立ち上がった山田は



いきなり俺の隣に座り

車体はグラッと大きく揺れた




「急に…動いたらびっくりするじゃないですか!」

「―俺は基本的に待つ事が嫌なんだよ。遼太の事を思ってずっと返事待ってたけど、もう我慢出来ねえ」




一人焦る俺をよそに


山田は自分の体を密着させてきて
俺の顔を間近で見つめてきた



その突然の行動に

心臓の鼓動が激しく動き始め

顔が一気に熱くなってくる




―何かヤバいぞ…この空気




「先輩、顔近いです…!」

何かされるととっさに感じた俺は

山田から目線をそらし、座りながら後ろに下がった





周りの車体には人が乗ってるし


壁はガラス張りなので


小さな隙間から俺達の姿を見ようと思えば

上からも下からも簡単見えてしまう



「逃げんなよ、遼太」



山田は俺の腕を掴むと

俺の体勢を自分の方に無理矢理向けさせた




「言っただろ、尚輝が忘れられないなら俺が忘れさせてやるって」



真剣な目で俺を見つめる山田



―顔が近い…


このままだったら…!




「先輩、待って…」

「―もう待たねぇよ」
< 138 / 195 >

この作品をシェア

pagetop