涙の雨
第4章
本当の気持ち
六月
梅雨の時期に入り
一年前の出来事が昨日の事のように感じる
望月と初めて会って
初めてのキスを経験した
ファーストキスの相手は?
なんて聞かれたら
俺は何て答えればいいんだろう…
「―遼太!」
名前を呼ぶ大きな声が聞こえてきて
俺は呼ばれた方向へ振り返った
「わりぃな!待たせちまって」
駅の改札で
待ち合わせしていた相手は山田
山田のバイトが無い日は
一緒にご飯を食べたり、カラオケに行ったりしていた
「何かジメジメすんな~。雨の日はバイクに乗れねぇから嫌いなんだよ~」
改札口から見える外の景色を見た山田は
ため息をついて
頭をポリポリと掻きながら言った
「遼太腹減ってねぇか!?俺、今日昼飯食べなかったから腹減ってんだよ。サイゼリでも行くか!」
サイゼリとは
サイゼリヤというイタリアンレストランの事
安いしドリンクバーがあるから
よく友達とも行く店だ
「そうですね!俺も少し食べたいです!」
俺が笑って言うと
山田は笑い返して俺の頭を強く撫でた