涙の雨

「あ、先輩ですか?急にすみません。あの…今日は、真っ直ぐ家に帰って勉強したいんです。テスト近いし…」


その日の放課後

山田と会う約束をしていた俺は
学校が終わってすぐに電話をしていた



テストまで残り一週間切って

そろそろ本腰を入れないとマズイと思ったからだった


『いいぜ、じゃ…テスト終わるまでは会うのやめるか。俺も講義とかで大学終わるの遅くなりそうだし…』

「すみません、俺のワガママで」



恐縮しながら話すと

山田は気にすんなよと優しく声をかけてくれた



『その変わりいい点取んねぇと、承知しねぇからな』


意地悪っぽく言った言葉は
山田なりの応援だったのかもしれない


「…ありがとうございます」


山田はいつも荒っぽくて強引だけど

本当は
優しくていい人だと思う



そういう所をあまり見せたりしないから

本当かどうかわからないけど



自分の事より

俺の事を一番に考えてくれていたし…








そういう所が


望月と被っていた
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