涙の雨

そしてテスト当日


三時限目までテストをやって
昼前にはすでに学校が終わっていた



「遼太~、何か飯でも食べていかね~?」

賢二がだるそうに言った


「まだ昼前だしな~。たまにはケンタにでも行く?」

帰り支度をしながら会話をしていると

突然携帯が鳴った



後ろのポケットから取り出して
待ち受けを見ると





望月からの着信だった



「―ちょっと待ってて!」
俺は慌てて賢二に話すと

一目散に教室から出て、賑わう廊下を避けるように



誰もいない奥の隅っこで着信を取った




「もしもし!?」
『―もしもし?遼太?』


久しぶりに聞いた望月の声


何故か顔がにやけてしまう


『テストお疲れ様。出来栄えはどう?』

「あっ、まぁまぁです」


―俺、尚輝さんと普通に喋れてる!


何かスゴい嬉しい!



胸をドキドキさせながら

電話の向こうにいる望月の声を聞き入る俺



『これから帰るの?』

「…はい、そうですけど」

廊下ではしゃぐ生徒達の声がうるさくて


俺は片方の耳の穴を

指先で塞ぎながら言った
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