涙の雨
外に出た俺は
慌てて望月の車に乗り込んだ
だけど学校の周りは
下校中の生徒がたくさんいて
いくら雨で傘を差しているとはいえ
助手席に座る俺を
誰かが目撃してしまうかもしれない
だけど望月は人気のない道を選んでくれて
何とか周りの目から上手く逃げれた車は
雨に濡れた国道を静かに走り出した
車のヘッドライトやブレーキランプで
路面はキラキラと反射していて
雨の街中はとても綺麗に見えた
「…何処に行くんですか?」
俺は前を見つめながら言った
「気になる?」
「―気になります」
運転する望月の横顔を見ると
何故か面白そうに笑っている
「俺と遼太の秘密の場所」
その一瞬の笑顔に
胸が熱くなるのを感じた
俺が一番大好きな横顔だったから
―俺、やっぱり…
今まで無理矢理抑えてきた気持ちが
心の奥底で
静かにうずき出す…
―駄目だ
俺には先輩がいるじゃないか!
頭の中でいろんな思いが混ざり過ぎて
一体何が正しくて
何が間違ってるのかさえ
見失ってしまいそうだった