涙の雨

大好きなひと


“遼太は博文の事好きなの?”


その質問に

俺はかなり戸惑った




でも素直に好きって言えなかったのは

自分の気持ちがすでに



望月の方へ向いていたからだと思う




「言えない?じゃ、何で付き合ってるの?」
「それは…その…」


容赦ない望月の言葉に


俺は緊張して
パニックになってしまった



いつも肝心な時に何も言えないのが


俺の欠点




何か話し出せるキッカケがあれば

簡単に言えるんだけど…


「じゃ好きでも無いのに付き合ったの?」




望月は俺をジッと見つめながら笑っていた


でも目は笑ってなくて…



その笑顔が余計に

言い出すキッカケを俺から奪っていく





「…これも話せないか」


そう言うと

吸っていた煙草を灰皿で消して、ウーロン茶を一口飲んだ



俺は望月の小さなため息を聞いて

自分自身が嫌になって、一人落ち込んでしまった




答えはもう出ているのに

それを口に出していれば


あんな重い空気にならなかったんだ





―はぁ…どうしよう


尚輝さん怒ってるしな…
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