涙の雨
いっそのこと望月のいない世界に行けたらって
何回も何十回も思った
学校にいれば
嫌でもその姿を目にする機会が多くて
その度に
楽しかった思い出が頭をよぎる
付き合ってる時が幸せ過ぎて
きっと、その幸せに慣れ過ぎていたのかもしれない
だから一人になって初めて、望月の存在が
どれだけ俺の心の支えになっていたのかと
つくづく思い知らされたんだ
「先輩の事は好きです。だけど、一緒にいてもHをしてる時も…頭から尚輝さんの事が離れなくて、重ねちゃうんです。尚輝さんと先輩を」
尚輝さんだったらこうしてるなとか
尚輝さんだったらこう言うかなとか
目の前にいる山田を見る度に、望月が自然と現れてくる
俺って最低だと思いつつも
目を閉じ頭に望月を思い浮かべながら
山田に抱かれる時もあった
望月の声とか体の感触とか
時間が経つにつれて
消えていくのを感じたけど
頭の片隅で、必死になって思い出そうとする自分が
本当に嫌だった