涙の雨

「でもあんまり元気なかったなぁ~。シュートとか結構はずしてたし。何かあったのかな…」



カウンター席に座る賢二の横で

俺はポテトを一つ食べながら思った



―先輩…




その前日にも山田と会っていたが

その姿はいつもと同じで全く変わらない



だけど何か考え込んでいて様子で


一点をジッと見つめたまま何も喋らない



そんな様子を

今まで目にした事が無かった俺は





ちょっと嫌な予感がしていた




―もしかして、尚輝さんとの事…




あの時点で俺はまだ話せてなかったし


もしかしたら山田に隠れて、望月と会ってる事がバレてしまったのかもしれない



―もう…ヤバいのかも…




黙っている事に限界を感じていた俺は


その時決心をしたんだ




電話でも、直接でもいいから
別れ話を切り出す事を



山田の状態は気になるけど
どこかで区切りをつけないと、前に進めないと思ったから



傷つけてしまう事は充分にわかってる



怒られても、嫌われても、場合によっては



殴られてもいい




それで山田の思いにケリがつくなら

俺は全てを受け入れると心で覚悟した
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