涙の雨

いつもの公園で一人待っていると


暫くしてから山田が来た



「待たせたか?悪かったな」

そう言って、ベンチに座る俺の隣に座る



「何だよ、話って」


俺は黙り込んだまま俯いてしまう



どうやって切り出せばいいのか…

何から話していいのか…




頭の中では話したい事がたくさん浮かぶのに

それが言葉として出てこない



「わりぃけど、この後予定が入ってんだよ。手短に頼むわ」

「後輩の人と…会うんですか?」


俺はようやく顔を上げて
山田を見つめた



「いや、女。飯に誘われてんだ」



その言葉を聞いた時

ズキンと胸が痛くなった



あの時は、何で痛くなったのかわからなかったけど


今思い返してみたら




たぶん女って言葉が
ショックだったんだと思う


望月が昔に言っていた話を

思い出したから…





「ご飯食べてから…どうするんですか?」

「さぁな。女がよけりゃ、ヤッちまうかな」


ハハハと笑いながら話す山田



俺は唖然として何も言い返せず

再び俯いてしまった
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