涙の雨
久しぶりに望月が帰省しなかった日曜日


五月の空はどんより曇っていて

今すぐにも雨が降りそうだった








ソファーで一人座って、コーラを飲む俺


その目に写るのは


離れた場所で
携帯を片手に誰かと電話している望月の姿…



二十分ぐらい話して

ようやく俺の元に帰ってきた





「ごめんね、遼太」

隣に座っても

俺は顔を合わせずに、一人黙り込む




「遼太…」



その瞬間俺の肩を抱いて

いきなりキスをしようとしてきた



「―やっ!」




俺は強引に望月の手を払い退け

キッと望月を睨んだ




「そういう事をするより、話さないといけない事とか無いんですか!?」


そう言うと

望月は驚いた顔で俺を見つめていた




「尚輝さんが何も言ってくれないから、俺毎日不安で仕方ないんですよ!?電話も繋がんないし、週末はいつも実家に帰っちゃうし…」


最後は俯きながら話すと

隣からごめんと望月の声が聞こえてきた



―まただよ


また謝ってるよ…




その瞬間


カチンときた





「俺が聞きたいのは…、そんな言葉じゃないです」
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