涙の雨
「尚輝さんはいつも謝ってばかりで、一番肝心な事を何も話してくれないじゃないですか。別れる時だって、結局本当の原因を俺に教えてくれなかったし…」



望月の事が好きだから、何でも知りたくて

たとえ自分が傷つこうが、何されようが



本当の事を聞きたかったんだ



「俺には言えない事なんですか!?昔も今も!」


俺が望月の顔を見ながら言うと

望月は俺から目線をそらした



―何だよ…



そういう事かよ





久しぶりに会えたから

いっぱい話して

いっぱいじゃれ合いたいと思っていた気持ちが





一気に冷めた







「俺…もう帰ります」


ソファーから立ち上がり

望月を見下ろした俺




望月は俯いたたまま顔をあげようとしない


その姿を見た俺は



そのまま玄関へ歩いて行く…





本当は止めて欲しかった



もしここで止めてくれるなら

許してもいいかなって思ったのに








望月は最後までソファーから立ち上がる事も



俺の名前を

呼ぶ事もしなかった
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