涙の雨

真実、そして嘘

―ガラッ!


勢いよく保健室の引き戸を開けた俺



「遼太…!」




白衣を着た望月が

驚いた顔で俺を見ている



ハァハァと息を切らしながら部屋に入り


ゆっくりと望月に近づいた




「遼太、授業…!」


「サボってきました」
「―は!?」



「尚輝さんの事が気になって、サボってきました」




二限目は数学だったけど

仮病を使って、うまく教室から抜け出してきたんだ



バレないか少しヒヤヒヤしたけど


俺の頭の中は勉強どころじゃなくて


望月の事で
気が狂いそうなほど考えて込んでいた



「賢二から聞きましたよ。尚輝さん、学校辞めるんでしょ?実家に会社継ぐんでしょ!?」


俺の言葉に

望月の表情が一瞬で曇る




「何で…話してくれなかったんですか?初めからこうだったんだって、何で言ってくれなかったんですか―っ!」

「遼太…」



自分自身があまりにも悔しくて

強く握った手が小刻みに震えてくる



たしかに何も話してくれない望月も悪いけど



話そうというキッカケを作れなかった自分が


凄い嫌で

凄いムカついていた
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