涙の雨
「俺の夢を話したら、渋々だけど許してくれたんだ。でも条件つきでね」



―三十になったら

会社を継ぐ事―




それが

唯一認められた夢への条件だったんだ



「それで東京に戻って、教師になって…遼太と出会ったって訳」





望月が優しく笑うと

俺の顔が一気に赤くなった

「初めて遼太を見た時、可愛いな~って思ったよ。女の子みたいで」

「からかわないで下さいよ、俺真剣に聞いてるんですから」


笑いまじりで話す望月に

あまりにも恥ずかしくなって、俺は思わず視線をそらした




「遼太に一目惚れだったんだ」





そう言うと、望月は椅子から立ち上がり

俺の方へ近寄ってくる



ドキンドキンと心臓が

大きく鼓動しはじめた




「でも、本気で好きになったら駄目だって心のどこかで感じてた。いずれは別れなくちゃいけないし、自分が辛くなるから」



望月は立ったまま俺を見下ろすと

優しく頭を撫でてくれる



でもその姿に





何故か自分の胸がキュンと締め付けられた
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