涙の雨
「遼太!」
突然呼ばれた大きな声
それは賢二と教室に戻る途中だった
「山田先輩!」
あの山田が中等部の校舎にいたのだ
基本的に高等部と中等部の校舎は別々になっていて
互いの校舎を行き来するのは
禁止されているのだ
「何で…ここにいるんですか?」
賢二が思わず聞いた
「部活の事で先生と話があってな!まぁ来たついでだし、遼太な顔でも見ていくかなってさ」
第二ボタンまで外したシャツに
緩んだままのネクタイ
そして髪の毛は
初めて会った時より短くなっていた
「わりぃけど、ちょっと遼太借りてもいいか?」
山田がニッと笑いながら言うと
賢二は遼太がいいならと俺を見た
「俺は…別に…」
俺がそう呟くと
山田はじゃ決まり!と言って
俺の腕を強引に引っ張り出した
「ちょっ!先輩!何処行くんですか!?」
周りにいた生徒達が
ジロジロと俺達を見ている
「まぁ楽しみにしてろって」
少し横暴な山田に俺は困惑しながら
とある場所に連れて行かれたん