涙の雨
刻々と時間が過ぎていく
こういう時に限って
過ぎる時間が速く感じてしまうのは、俺だけだろうか
「遼太、ごめんね」
「―え?何ですか、急に」
ホームへ向かう途中
望月がいきなり謝ってきた
「…俺が遼太を好きにならなかったら、遼太は同性愛者にならなかった。女の子と普通の恋愛をしていたのかもしれない。俺が…この世界に引き込んでしまったんだよな」
少し寂しげに笑うその横顔を見たら
胸がギュッと締め付けられた
―また謝ってるし
「尚輝さん…俺、後悔してないですよ?ゲイになった事」
俺は笑って望月に言った
―泣いたらダメだ
泣いたら…ダメだ
「俺が男だから尚輝さんと出会えたんですよ?だから俺は後悔なんて全然無いです。尚輝さんがそんな事言ったら…俺、立場ないじゃないですか」
付き合っていた当時は
同性愛について色々悩んだりしてた
だけど今、俺が幸せでいられたのは
隣に望月がいてくれたからだと思う
だから逆に
俺は望月に感謝の気持ちでいっぱいだった
「ありがとう、遼太」
―ありがとう…尚輝さん