涙の雨
「俺があの映画を見たかった理由はね、あの言葉に共感出来たからなんだ。遼太と別れて、また付き合うまで同じような事ずっと考えてた」
そう話す俺を見つめる望月の目が
どこか切なくなる
「遼太を殺したら、ずっと自分のモノに出来るのかなって。誰にも見せないで誰にも触らせない。ずーっと俺の側に…」
その話し方がとても辛くて
俺は思わず望月の肩に自分の頭を乗せた
―何で…今更そんな事言うんだよ
尚輝さんズルイよ…
「俺達は同性だし、周りから冷たい目で見られたりするけど、遼太を好きっていう気持ちは誰にも負けてないよ?だけど、ずっと一緒にはいられない。これが現実なんだ」
望月は俺の肩を抱きながら言った
「そんな事…わかってますよ…」
そんな事誰よりわかってる
だから最後ぐらいは
笑ってお別れしたいのに…
「…もう行かなくちゃ」
望月がゆっくりとベンチから立ち上がり、
俺の手を引いて新幹線の乗り口まで歩く
俺はいろんな思いが胸に込みあげてきて
既にもう目がうるんでしまった