涙の雨
「遼太」
俺は下に俯いたまま
望月の顔を見なかった
―あぁヤバい
俺、絶対に泣くよ
そう思ったから、ワザと顔を上げなかった
「顔を上げて、遼太」
優しい望月の声
俺は仕方なく
ゆっくりと上目使いで望月を見上げた
「長い間本当にありがとう。遼太を好きになれて本当によかった」
そんな寂しい事言われたら
気持ちを抑える事すら出来なくなる
「俺…泣かないって…決めたのにっ…!」
とうとう涙を溢してしまった俺は
そのまま望月に抱きついてしまった
大好きだった香水の匂いがすると
余計に涙が止まらなかった
「尚輝…っさん!行かないで!行かないでよぉ…!」
声を上げて泣く俺を
望月は強く抱きしめてくれる
その力は背骨が折れそうなぐらい
とても強かった
「尚輝さ…んっ」
これで離れたら
もう望月と会えなくなる
へたしたら
もう二度と…―
「さようなら遼太」
その言葉の後
望月が俺にキスをしてくれた
唇が一瞬だけ触れた軽いキスを