涙の雨
そして俺から離れた望月は
アタッシュケースを持って新幹線に乗り込む
俺はその姿を最後まで目で追った
外側の窓側の席
でも望月は席に座っても
俺を見ようとしない
「尚輝さん…!何で…」
その態度に余計に寂しくなった俺は
自分の手の甲で溢れ出す涙を拭いた
そして暫くすると
ホームに発車音が響き渡り
新幹線の扉がゆっくりと閉まった
「やだ…やっぱり嫌だよ!尚輝さん…!」
独り言でそう呟いても
望月に届くはずがない
だけど、依然として望月は俺から顔をそらしたままだ
「待って…待ってよ尚輝…さんっ」
涙で前が見えなくなった俺は
何度も何度も手で涙を拭いた
そして、ゆっくりと走り出す新幹線
だが望月は最後まで俺を見ようとせず
新幹線は
そのまま走り去ってしまった
その後、一人ホームに残った俺は
ベンチに座りずっと泣いていた
―もしかして…
尚輝さんも…?
そう思ったら
更に涙が止まらなかった