涙の雨
望月がいなくなって数ヶ月後
山田からある事を聞いた
「尚輝、見合い相手と結婚したらしいぜ?政略結婚だってよ。そんなドラマ見てぇな話、ホントにあるんだな~」
山田は望月がいなくなった後も
まめに連絡を取っていたらしい
俺には
電話の一つも無いのに
嫌いになれたら
ホントに楽だったと思う
だけど
隣にいなくなった今でも
望月が好きだ
こんなほろ苦い恋愛、この先の人生にないかもしれない
そしてこの先
こんなに人を好きになる事は
二度とないかもしれない
俺はまだ十代だし
これから社会に出て、いろんな事を学んで
いろんな事を経験するかもしれない
だけど
望月と過ごした三年間は絶対に忘れないし
同性愛者という枠に捕われないで
たくさんの人と
向き合っていきたいと思ってる
―もし
また会える事があるなら
今度こそは笑って
尚輝さんを迎えてあげるんだ
――THE END――