涙の雨

「先輩、ここ…!」


山田が連れてきた場所は屋上だった


だが入口には

立ち入り禁止とベニヤ板に書かれていて

それ以上入る事が出来ない



「ちょっと待ってろよ…?」

俺の腕を離して

屋上に繋がる階段を上がる

その瞬間―


―バキッ!




「!」

板が割れるような物凄い大きな音に

俺は体をびくつかせて驚いた



「やっぱりな、思った通りだぜ」

山田が自慢気に言うと


ベニヤの板を退かし入口を空けたのだ




「先輩…一体何を」

「ここのベニヤは昔っから簡単に外れるんだよ。だから中学ン時は、いつも屋上でのんびりしてたんだ。誰もいねぇし来ねぇしな」



ニッと嬉しそうに笑う顔を見て

俺もつい笑ってしまった



見掛けによらず山田先輩って子供っぽい


いや悪ガキの方が似合ってるかも



―ガチャ


山田が扉のノブを回すと

扉は鍵がかかっておらず
簡単に開いた




「遼太!来いよ!」


まるで隠れ基地に行くような感覚



「はいっ!」

俺はワクワクしながら

屋上に繋がる階段を駆け上がって行った
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