涙の雨
目の前に広がる青空と
遠くまで一望出来る景色
俺は解放感でいっぱいになった
「気持ちいいだろ!遼太!!」
山田が大きく背伸びして言った
「はいっ!」
それにつられて俺も大きく背伸びする
「今は日差しが暑い位だけど、春とか秋とかスゲェ気持ちいいぜ~?風とか特によ」
山田はその場に寝転ぶと
空に浮かぶ入道雲を見つめている
俺はフェンス脇で景色をずっと眺めていた
「なぁ…遼太」
「なんですか?」
俺は山田の隣に行って
体育座りをした
「お前、望月に何かされたか?」
「―えっ!?」
いきなりの言葉に驚く俺
「その驚き方じゃ…もう手、出されてんな」
山田はため息をついて
困った顔をしていた
「アイツは両刀だからなぁ~。可愛いヤツを見たら男も女も関係ねぇ、すぐ自分の物にしたがるんだ」
「…」
山田の言葉に黙り込んでしまう俺
そんなの嫌というほど分かってた
望月がそういう目で見てる事も
だけど
自分の中で“望月”という存在が
どんどん大きくなっていたのも事実だった