涙の雨

「遼太…頭がおかしくなるほど、気持ちよくしてやろうか?」


山田の吐息が耳元にかかる


俺は顔を赤くしたまま

ジッと体を硬直させていた



そして…



「クックックッ…」

「…?」



声を殺すような笑い声


その瞬間アーハハハと
豪快に山田が笑い出した


俺は唖然としたまま

山田の横顔を見つめる




「お前、まだ童貞だろ!?そんな顔真っ赤にしてよ~!」


腹を抱えて笑う山田



その甘い罠に

俺はまんまと引っかかっていたのだ



「俺を騙したんですかっ!?」

「わりぃわりぃ、ちょっといじめたくなってさ。…望月がハマるのも無理ねぇな、コリャ」



山田は頭をポリポリと掻いて

口元を上げながら笑った



「なぁ遼太。バイだからって好きなもんは好きなんだ。相手がどんな相手だろうが」


今度は真剣な顔で俺を見つめる山田


「だから差別するような目で見ないでくれな?」


俺はその言葉に

素直にはいと頷いた





“好きなものは好き”





当たり前の事だけど



山田に言われて

初めて胸に熱く響いた
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