涙の雨

空は夕暮れ


夕日が雲に隠れて

その間から眩しい程の光が差し込む




俺は学校から出て
一人で家路に向かっていた



電車で一時間

そのあと自転車で十五分



東京のとある場所に俺の家があった





あまり自分で言いたくないけど

家は結構でかい



広い庭もあるし
部屋数も無駄にたくさんある


家族一人一人の部屋に

父親専用の趣味の部屋



だけど俺はその部屋に一度も入った事が無い




父親はプライベートルームだからと言って

家族誰も入れてくれないのだ



昔からそういう父親だったから

あまり遊んだ記憶がない



病院に勤めてる仕事も忙しいし

家にいてもその部屋に入り浸り



小三の時にオーストラリアへ旅行した時も


何故か父親だけは行かなかった


“仕事が忙しい”とか


“手術が入ってる”とか言ってた




外科医だから

仕事内容もハードなんだろうけど



そんな父親に母親は


“どうせ愛人と会ってるんでしょ?”



と俺と兄の前で

堂々と愚痴をこぼしていた





へんな家族だなと

小さいうちから感じていた
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