涙の雨
「この前も言ったろ?遼太の事待ってるって。別に無理に用事を作らなくたって、いつでも来ていいんだよ?遼太だけは」
俺の心の内を見透かしたように言った望月
ホントは保健室の前を通っては
先生、今何してるのかなって
ずっと考えてた
だけど中に入る勇気が
あの時の俺には無かった
「ホントに俺だけ…ですか?」
望月の声を聞いただけで
心臓がドキドキしてる
また…
思い出してしまう
「もちろん」
「―また遊びに行ってもいいですか?」
「遼太なら大歓迎するさ」
その言葉が胸にジーンときた
自分は特別なんだと
改めて思えたから
たくさんの人間が行き交う駅前で
一人にやけながら電話する俺
周りからみたら
変な目で見られてるかもしれないけど
俺はそんな事全く気にせずに望月と話していた
だって嬉しかったから
“好きなものは好き”
望月との電話を切った後
自然と心が温かくなっていた
ふと空を見上げると
綺麗な黄昏が目に飛び込んできた