涙の雨
七月二十九日金曜日
夏期講習の最終日
そして望月の当直の日だ
朝からそわそわしながら
学校に向かう俺
照りつける太陽の日差しが眩しくて
あの日は木々の木陰を選びながら歩いていた
望月と会うのは終業式以来
たった数日間なのに
まるでずっと会っていなかったような感覚だ
誰かを好きになる事が
こんなに楽しいだなんて
全く予想つかなかった
寝ても覚めても望月の事ばかり頭に浮かぶ
今日という日だって
ずっと楽しみにしてた
勉強に追われる日々だけど
望月という一人の人物がいるだけで
こんなにも毎日が明るくなる
同性愛という堅苦しい言葉に
ずっと悩んでいた数ヵ月前
だけど今は
堅苦しいというよりも
一つの恋愛のカタチなんだと思えるようになったんだ
“好きなものは好き”
山田の言葉の意味が
ようやくわかりかけてきたような気がする
だけどこの時はまだ
初めての恋で無我夢中だった