涙の雨
最後の授業が終わり
俺は急いで保健室へ行った
でもこの日で学校に来る事が無くなる
今度会えるのは
九月の始業式なのか…
さっきまで会える事に心がワクワクしてたのに
何だか急に寂しくなった
―思い切って…誘ってみようかな
ダメ元で
“どっか遊びに行きませんか”
とか
“せめてメアドだけでも、交換してもいいですか”
とか…
「一ヶ月も会えないなんて俺死んじゃうよ…」
女みたいな可愛い事をぼやく俺
でもそれぐらい
会えなくなるのが嫌だった
望月はそんな子供みたいな事思わないだろうけど
俺はこう見えて昔から寂しがり屋だった
両親にもあまり甘えた事ないし
甘えさせてもらった記憶もない
だから望月が抱きしめてくれると
すごく安心できた
白衣の上からでも温もりが伝わってきて
ちょうど俺の耳の位置に望月の心臓がある
その一定の鼓動が聞こえると
先生の腕の中にいるんだなって
幸せな気分に浸れた
煙草とあの香水の匂いが
俺の体にもつけばいいのにって
何度も思ってたんだ