涙の雨
一番奥の角部屋
部屋に入りリビングに通された
俺の目に飛び込んできたのは
大きな窓ガラスの先に見える綺麗な夕日だった
何も遮る物が無い夕日の光は
望月の部屋を真っ赤に染め上げていた
「すごい…」
「綺麗でしょ?この景色に一目惚れしてここを買ったんだ」
夕日の美しさに見とれる俺の後ろから
優しく声をかける望月
あの景色は
今でも目に焼き付いてる
雲一つ無い空に真っ赤な夕日
そして隣には愛する人
俺は最高の幸せ者だって
時がたった今でも度々思い返してしまう
時刻は六時半
土手沿いから激しい地響きのような音と共に
一斉に打ち上がる花火
部屋を真っ暗にして
花火の光と月明かりだけで
俺達は目の前の花火を楽しんでいた
広いベランダに一人出て
体の芯まで響いてくる花火の音や
華麗な姿を見ては、はしゃぎ楽しむ俺
そんな俺の姿を部屋の中で見ながら
優雅にデリバリーのピザを食べる望月
「先生も外に出た方が絶対いいですって!」
俺は満面の笑みで望月を誘った