涙の雨
そんな俺の言葉に
望月は大きなソファーから立ち上がり
ベランダに出るやいなや
後ろから俺を抱きしめてきた
「俺は花火なんかより、遼太を見ていたいな」
耳元でソッと囁く望月
心臓がバクバクと激しく動くのは
決して花火のせいなんかじゃない
望月が…
俺を抱きしめているから
「せんっ…せい…?」
耳の裏を舌で舐められる
敏感に反応する俺を楽しむように
望月は俺の耳たぶを甘噛みしてきた
その時会場のアナウンスが最後の演目だと告げた
土手沿いやその周辺を埋め尽くす人々が
えー!と大きな声を上げる
だけどその声を消すかのように
一気に花火が打ち上げられた
「先生…っ!花火…終わっ…ちゃいっます…よ」
俺は望月の舌で感じながらも
必死に伝えるが
花火の音に聞こえなかったのか
望月の舌は徐々エスカレートしていき
首筋に落ちると、俺のTシャツの中に手を忍ばせてきた
「っ…ぁん…」
―花火も見たいけど
先生も感じたい
頭の中で入り交じる感情に戸惑っている間に
花火は最後の一発が打ち上り
大会の終りを知らせた