涙の雨
第2章
初デート
夏休みがやっと終わって
また学校が始まる
「遼太~元気だったかぁ~!」
下駄箱にいた俺に近寄ってきた賢二
「…あれ?賢二もしかして日焼けした?肌こんがり焼けてんじゃん」
「田舎のばあちゃんち行っててさ!毎日海で遊んでたから、焼けちったんだよ!」
ちょうど鼻の頭の皮が剥けて
指先でその皮を綺麗に剥きたくなる
「やめろよっ!」
鼻に手を伸ばそうとすると
笑いながら俺の手を払い退ける賢二
「遼太は夏休み、何してたんだよ?」
俺達は上履きに履き替え
二人揃って教室に向かう
「ん~…」
思い返すだけでにやける俺
“俺も遼太が大好きだよ”
望月が言ってくれた言葉
何度思い出しても嬉しくなる
「何、にやけてんだよ!エロイな~遼太って!」
「うるせーよ!バーカっ!」
からかうように言った賢二に
俺は一瞬の隙を見て
ワザと鼻の皮を剥いてやった
九月なのに
真夏のように日差しがきつい
秋なんて、またまだ当分先の話