涙の雨
園内はたくさんの人で賑わっていた
家族連れや恋人同士
もちろん俺達もその中の一部
「尚輝さんっ!どこから行きます!?」
俺はパンフレットを見ながら
望月に聞いた
「遼太の行きたい所からでいいよ」
ニッコリ笑いながら眼鏡を直す
「ん~…」
悩みながら真っ直ぐ歩いて行くと
象のブースが見えてきた
「あっ!象だ!」
俺はつい小走りでブースに近づく
小五の時に遠足でここに来た
と言っても当時の俺から見たら
つい二年前の出来事
特に懐かしむ事もなかったが
やっぱり動物を目の前にすると
無邪気にはしゃいでしまう
「鼻で自分の体に水かけてますよ!」
俺は指を差しながら望月に言った
望月も隣で本当だと言って笑っている
まだ子供だった俺は
ただ普通に動物園を楽しんでいた
今だったら余計な事ばかり考えて
純粋にデートを楽しめなかったかも
望月と会うまでのあの落ち込みが嘘のように
俺は初デートを満喫していた