涙の雨
時間はあっという間に過ぎて
閉園時間が近づいてきた
人もまばらになってきて
空も少しづつ赤く染まってきた
「早いですね、一日って」
俺達は出口に向かっていた
「そうだね」
隣で一緒に歩く望月が呟く
―また明日から教師と生徒に戻るんだ
そう思ったら
少し寂しくなった
でも今日は一日中一緒にいる事が出来た
笑った顔も
楽しそうな顔も
俺を見つめる優しい目も
みんな独占出来たんだ
でも望月がペンギン好きだったのは、結構意外だったけど
「あ、遼太。ちょっと待ってて」
その時
望月が突然足を止めて
出口から程近いお土産屋さんに向かって行く
―誰かにお土産買って行くのかな?
俺もその場で足を止め
近くにあったベンチで望月を待った
目の前を通り過ぎていく人混みの中に
手を繋ぐ恋人が目に入ってきた
あの時
俺と望月はどういう関係に見えたんだろう
と、ふと頭をよぎった
兄弟?
それとも友達?
いや、友達にしては歳が離れすぎてる
じゃやっぱり兄弟…か