涙の雨
帰りは自宅近くまで送ってあげると言ってくれて
俺は望月の車に乗り込んだ
だけど、都心は日曜日だからかかなり渋滞していて
その中に俺達もハマってしまった
「もしかして帰るの遅くなるかもな…。遼太は家、大丈夫?」
「俺は大丈夫です。うちの家、あんまりそういうの干渉しないから…」
俺がそう言うと
望月はそっかと言って笑った
その横顔にまた胸が熱くなる
「今日ね…本当は来てくれないかと思ったんだ」
「え…?」
意外な言葉に驚く俺
ハンドルの上に伸ばした腕を乗せたまま、前を見つめる望月
「この前博文とバッタリ会ってから、あまり元気無かったし、保健室にも顔出してくれなかった」
眼鏡を直しながら話す望月を
俺は横でジッと見つめている
「自分から誘っておきながら、この日が来るの正直怖かったよ。もし…来てくれなかったらどうしようって」
フッと鼻で笑ったその表情は
どこか寂しげだった
「もしかして、俺の事…嫌いになったのかなって―」
「―そっそんな事無いです!」
思わずどもってしまった俺を
キョトンとした顔で見つめる望月