涙の雨
「尚輝さんを嫌いになる訳ないじゃないですか!それに放課後、保健室に行けなかったのは、賢二と帰る約束してたから…」
俺は顔を赤くさせながら
必死に自分の気持ちを伝える
そして今までずっと胸に抱えていた想いを
全て望月に打ち明けた
「たしかに博文とは名前で呼び合ってるけど、生徒以上の関係は無いよ。それは断言してもいい」
渋滞はいつの間にかに解消にしていて
車は軽やかに走っていた
「遼太がそう言うなら、俺だって嫉妬してるさ。アイツに」
「尚輝さんが?…誰に?」
「後藤だよ」
―後藤…?
「―って賢二じゃないですか!」
普段から名前で呼んでいる賢二の名字を
俺はすっかり忘れていた
「いつも遼太と一緒じゃないか。廊下で仲良くじゃれ合ってるし…。ついさっきだって名前出てきた」
運転しながらすねた口調で話す望月
そんな意外な姿を見た俺は
何だか急に嬉しくなった
―尚輝さんもすねたりするんだ
カッコよくて性格もよくて
非のうちどころが無いような人なのに…
それは
望月の新しい一面を発見出来た瞬間だった