涙の雨
空に月と星が浮かぶ頃
望月の車は俺の自宅付近で止まっていた
「今日はありがとうございました。とても楽しかったです!」
俺は運転席に座る望月に
満面の笑みを浮かべて言った
「尚輝さんのペンギン好きにはびっくりしましたけど」
ちょっと意地悪っぽく言うと
大人をからかうんじゃないと
怒られた気がしたが、俺はにやけたままその場を流した
「遼太。はい、これ」
その時、望月は後ろの座席に置いたあの紙袋を取り
俺に手渡した
「?」
不思議な顔で望月を見つめると
中身を見てごらんと笑って俺に言った
「遼太にプレゼント。少し…子供過ぎたかな?」
ZOOとプリントされた紙袋の中に手を伸ばし、中身を取り出すと
ちょこんと座った、可愛らしいパンダのぬいぐるみが入っていた
「上野といったら、パンダだからね。今日も一緒に見ただろ?」
ジャイアントパンダのブースはかなり混雑していたが
笹をむしゃむしゃと食べる姿を
この目でしっかりと見る事が出来た
「ありがとうございます、尚輝さん!俺…嬉しいです」