涙の雨
誕生日
「もう少しで誕生日だね、遼太」
ここは保健室
部屋にいるのは俺と
望月だけ
「俺、やっと十三になりますよ!」
俺は回転する丸椅子に座り
一人クルクル回りながら言った
「俺と十四も離れているのか、俺もうオジサンだな~」
「―尚輝さんって二十七なんですかっ!?」
望月の何気ない言葉に
思わず椅子を止め驚く俺
「そうだよ、びっくりした?」
望月はデスクの上で仕事をしながら言った
「もっと…年上なのかと思ってました。三十代とか…」
「三十って言っても、あと三だからね。まぁ俺はあまり気にしてないけど」
そう言うと
ゆっくりと椅子から立ち上がる
手には書類みたいな物を抱えていた
「四時から職員会議なんだ。だからもう行かなくちゃ」
その言葉に
じゃ俺も帰りますと言って
手に鞄を持ち、椅子から立ち上がった
「プレゼント。何か考えといてね」
笑いながら言うと
俺に軽くキスをくれた望月
そのまま俺の隣を横切ると
あの大好きな香水と煙草の匂いが
その場に残っていた