涙の雨

そして誕生日当日


その日は祝日で

朝から望月と会う約束をしていた



父親からは新しい財布
母親からは新しい洋服を買ってもらい

兄からはおめでとうの一言だけもらった




もらった服を着て

もらった財布にお金を入れ替えた俺



そして待ち合わせの場所で暫く待つと

望月の車がハザードをつけながら俺の前に止まった



「おはよ、遼太」


助手席の窓を開けて
ひょこっと顔を出した望月


「おはようございます」



俺は笑いながら言って

車に乗り込んだ







「今日は何処に行きたい?遼太の誕生日だから、何処でも連れてってあげるよ」

車を走らせながら話す望月


俺はその横顔を見ながらこう言った






「尚輝さんの家に行きたいです」






意外な言葉に

望月は驚いた顔をしていた




「今日は…朝から晩まで尚輝さんといたいから」



この言葉を言うのにかなり勇気がいった


顔が異常に熱く感じたけど



今日ぐらい
俺のワガママを伝えてもいいのかなって


ずっと思ってたから




「ホントに…いいの?」

「―はい。ホントにいいです」



俺に迷いは全くなかった
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